2012年8月14日火曜日

書評『イノベーションのDNA~破壊的イノベータの5つのスキル』C.クリステンセン他

イノベーションを生み出す能力は、生まれよりも育ち。
本書のエッセンスを一言で言うと、こうなる。
イノベーションは、先天的な能力を備えた人間だけが起こせるのではなく、そのスキルを磨き行動すれば誰にでも起こすことが可能だ、と説く。

こんなに勇気づけられるメッセージも珍しい。
その意味で本書は実は自己啓発本と言えるかもしれない。

イノベーターのジレンマでおなじみのクリステンセン教授らが、世界中のイノベーターや企業幹部を研究し、イノベーションに必要な以下の5つのスキルを抽出。

①関連付ける力(異質なアイデアを結合させる力)
②質問力(本質的な質問を投げかける力)
③発見力(観察から洞察を得る力)
④ネットワーク力(多様な人と交わる力)
⑤実験力(アイデアを試す力)

閃きは机の前でウンウン唸って生まれるのではなく、現実との関わりや人との交わりから刺激を受けて生み出される事がわかる。

なお5つの力は並列の関係ではなく、相乗的な関係。
例えば、ネットワーク力を高めて様々な人間と交流すれば、関連付ける力や発見力も磨かれるのだろう。

対して、日本の経営学者が論じるイノベーターの条件は、『イノベーションの作法』(野中郁次郎他)に詳しい。
以下の5つを挙げ、伊右衛門やヘルシオ等の具体的な事例を交えて紹介している。

①理想主義的プラグマティズム
②場の生成能力
③知のリンクをはる能力
④感情の知
⑤勝負師のカン

イノベーションのDNAの5つのスキルと共通するものも多いが、こちらでは感情やカンなど、より主観的な要素を強調している点が特徴的。
データ分析偏重の傾向を”分析マヒ症候群”と断じ、最終的には生き方(=何がやりたいのか?)の確立こそがイノベーションの条件と説く。
MBAも持ち米国式の経営学に精通している著者なればこそ、この指摘には重みがあると思う。

今回は書評というより紹介になってしまったが、創造や発想のヒントを求める人に薦めたい。どちらも良書なので併せてどうぞ。

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