2012年7月23日月曜日

書評『種の起源』C.ダーウィン


ご存知ダーウィンの進化論。
内容の一端は知っているつもりでも実際に読んだ事のない古典は数多い。こちらは読みやすい新訳が出ているとの評判で一読。

進化論は1800年代半ばの出版当初としては極めて異端な説だったために、本書は想定される批判への反論を予め記載した緻密な構成が特徴的(それ故に読みにくい)。

進化論のエッセンスをざっくり言うとこうなる。
全ての生物は共通の祖先を持ち、環境変化に応じた変異の蓄積から様々な進化を遂げた結果、現在の多様性を獲得するに至った。
そして進化の過程では、自然淘汰や生物間の限りない生存闘争が繰り広げられている。

ここでは、変異というキーワードに着目したい。
変異とは個体間の形式や特質の違いを言うが、適者生存のルールの下では、適応に有利な変異を蓄積した生物だけが生き残る事ができる。

これを人間や企業に当てはめるとどうなるか?
生存のためには変異が必要だが、環境変化は予測できない場合が多い。
であれば、予め変異を生み出しやすい仕組みを作っておくことが重要なのだと思う。

例えばユニクロの柳井社長は、成功体験は一日で捨てて、またゼロから成功のための方法を考えろと書いていたけど、これは特に変化の激しいアパレル業界で変異を生むために必要なマインドセットだと解釈できる。

個人のレベルでも変異の種蒔きは欠かせない。表面的なスキルではなく深い専門性や、他企業・他部署へもポータブルなスキルの土壌を作っておくと良い収穫を得られる可能性が高まるように思う。

2012年7月11日水曜日

書評『創造への飛躍』湯川秀樹


日本人初のノーベル賞受賞者である著者の人生観や世界観、素粒子論に至るまで多岐に渡る論考を収録した本書。
題名でもある“創造”をテーマとした考察が最も面白かったため、今回はその部分に焦点を当てたい。

創造したいという願いは、形式や程度の違いはあっても誰しも共通だと思う。
自分も例外ではなく、本を媒介として何か面白いアウトプットをしたいから、こうして書評を書いている。

創造の大きなヒントになりそうな“同定”(identification)という概念を本書から紹介したい。
同定とは、2つの事柄の共通点を見つけること。もちろん、似たような事柄であればすぐに共通点を指摘できる。
しかし、一見何の関係もない事柄の類似性を見出して本質を探り当てることが価値であり、事柄間の距離が遠いほど面白い創造になり得るのだと思う。

どうしたら同定が得られるかと考えるうちに、創造と合理的思考の関係に思い至った。
合理的思考(ロジカルシンキングを思い浮かべて欲しい)とは、つまるところ物事を整理した形式で考えること。それ自体は必須の技術だが、無から有を生む性質のものではない。

そう、創造には着想が必要なのだ。言い換えると、Aを見た瞬間に、Bと似ているという直感を抱けるかどうか。
直感を発射台として、共通点は何かを合理的思考で詰めて本質に至る、これが同定のプロセスなのだろう。

合理的思考一辺倒の自分にとっては、直感というのは貴重な気付き。では直感をどう磨くか?これからの一大テーマになりそう。