2012年4月25日水曜日

書評『物理法則はいかにして発見されたか』R.P.ファインマン

1965年にノーベル賞も受賞している世界的な物理学者による物理学の入門書。

物理学について何も知らない自分にとっては全てが新鮮でそれだけでも十分に面白かったのだが、“物理法則の発見へのアプローチを学ぶ”という視点から読んだ。

結論から言えば、アプローチとしては、“仮説の構築と実験による検証”というシンプルで当然のプロセスの繰り返しがあるだけで、目新しい所や魔法はない。

ただ、その中での気付きを抽出するなら、

・新しいアイデアを考えつくためには飛び抜けた想像力が要る
・考えを、既知の領域を越えてできるだけ遠くまで拡張する事が必要

と、いかに大胆な仮説を立てるかに重きを置いている様に見えた。

 物事を考える際には、

・思考の幅(他分野との関連付け)と
・深さ(同じ分野での掘り下げ)

の2つが重要と思うが、上記は思考の幅の問題だろう。

この点をキャリア形成の切り口で考えた時に、“専門化”の限界を思う。

特定分野の専門性を高める事は不可欠だし異論もない。

が、専門化を“深さ”の問題とするならば、他分野の知見・関心たる“幅”の広さ無くして面白いアイデアや発想、仕事の奥行が生まれるだろうか。

 大学を卒業して随分経つが、1・2年の一般教養課程は思考の幅を、3・4年の専門課程は思考の深さを養うためにあったのだなあと、今更ながら実感する。

これを10年前の自分に教える事ができたらどんなに良いか…
そしたら、まともに授業を受けた記憶が無い自分はここにはきっといなかった、はず?

2012年4月16日月曜日

書評『10年後に食える仕事 食えない仕事』渡邉正裕


グローバル化時代の職業論。職業を、
・スキルタイプ(知識集約的/技能集約的)
・日本人メリット(日本人である事の優位性が大きい/小さい)
の2つの軸に基づいて以下の4つに分類し、相対的な有利・不利を分析。

①技能集約的&日本人メリット小:「重力の世界」
グローバルな最低給与水準に収斂。分かりやすい例は、プログラマー、コールセンター等。

②知識集約的&日本人メリット小:「無国籍ジャングル」
世界中のライバルとの競争、超成果主義。CEO、CFO、トレーダー、ファンドマネジャー等。

③技能集約的&日本人メリット大:「ジャパンプレミアム」
日本人ならではのホスピタリティ、日本人である事の信頼感。住宅営業、CA等。

④知識集約的&日本人メリット大:「グローカル」
日本市場向けの高度専門職、高付加価値スキル。医師、弁護士等。

国内市場は縮小するものの30年後にも1億人規模の人口は維持される点から、外からの競争圧力が弱い③と④を“ブルーオーシャン”と位置付け。
なかでも、より高い報酬が得られる④を目指すべし、と言うのが著書の主張。

切り口と、何よりネーミングか面白い。
職業内での競争(例えば④なら、年収300万円の弁護士の話)を考慮する必要があるが、考え方は現在の立ち位置・今後の方向性を考える上では一定の有効性もある。

とは言え、年齢を重ねるに従い職業選択の幅やキャリアチェンジの可能性が小さくなるのも事実。例えば40歳で①の領域の人に対して、頑張って④を目指せと言っても始まらない。
その意味では、イメージ先行ではなく戦略的に職業を選ぶ観点から、学生/もう少し若い人こそが読むべき一冊だったかな。