バランスのとれた歴史認識とは何か?が本書における自分の問題意識。
思えば、学校の歴史の教科書で学んだ内容が正しいという事は大前提として位置付けてきた。
教科書で記述されている歴史が通説だとすると、本書で著者が展開する説は通説を覆すもので、最高にエキサイティング。
なかでも最も面白かったのは、実は日本は農業社会ではなかったという説。
通説では、江戸時代以前の日本人の大部分は百姓であり、水田を中心とした農業に基づく均質的な社会を構成していたとされている。
ここで、百姓と言った場合に、ほとんどの人は農民を思い浮かべるだろう。
著者は、百姓=農民という後世の歴史家の決めつけが、農業社会の誤解の根幹であると指摘。実際、当時の百姓には漁民・山民を始めとした多様な職業民が含まれていたことを幾つかの事例から裏付けている。
著者の説では、日本は非農業の色彩の強い多様な社会だった。
他にも、江戸時代の女性の地位は、通説の様に抑圧された低いものではなかったというくだりも興味深い。
これらの説を正しいと仮定した場合に、通説がまかり通ってきたのはなぜか?と考えてみる。
それは、結局のところ通説が体制にとって有利だったからではないか。
均質な農業社会という構図は和を尊ぶ精神を、抑圧された女性の地位は女性の社会進出抑止の正当化を国民に植え付ける事ができるだろう。
社会の安定と経済成長を最優先課題とした戦後の日本の産業政策上の要請と符合していると思うのは自分だけか。
もちろん、教科書の歴史が全て誤りだなんて言うつもりはない。
しかし、体制にとって有利な解釈から歴史が描かれるバイアスは意識すべきだと思うし、それがバランスのとれた歴史認識に繋がるのだろう。
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