2012年5月22日火曜日

書評『銃・病原菌・鉄〜1万3000年にわたる人類史の謎』J.ダイアモンド


かつてスペインがインカ帝国を滅ぼし欧州列強国が南米を植民地化したが、その逆が起こらなかったのはなぜか。
これは同時に、現在の世界に生じている富とパワーの地域的な偏在。その理由は何か、という問いでもある。
これらの問いへの答えを1万年を超える人類史から探る壮大な考察

人類は、狩猟採集→食料生産→余剰食料の蓄積→食料生産に従事しない専門職の出現→技術・文字の発達、という文明の発展の階段を上ってきた。

大陸・地域毎の環境の違い(気候、動植物の分布等)が発展の速度を決めたのであって、人種の優劣によるものではない事を豊富なデータから裏付ける。

銃・病原菌・鉄は、スペインがインカ帝国を滅ぼした直接の要因。しかし背景には、それらを南米より早く生み出し得た欧州の有利な環境があった。
そして、大昔の環境の違いが現在の世界のパワーバランスをも決めてしまったのだ。

と、かなりスリリングな検証で今年読んだ中でベストの一冊。

小さな環境の違いが大きな結果の差異を生む、という事には普遍性がある様に思う。
インカ帝国の国王は国の所在地は選べなかった訳だが、個人にとっての環境は所与ではない、という気付きが重要なのだろう。

どの環境に身を置くのが有利か。住まいからキャリアに至るまで、人生のあらゆる局面に適用できるこのテーマ。
現状を是としがちな自分にとっては、もっと戦略的に考える余地があるな。

1 件のコメント:

  1. 文明の発展が環境との相関関係があるという点というキーワードに引っかかったのが、「3つの原理」でした、書評に載せてみたのでご参考まで。
    各文明が主としてきた価値観はその栄枯盛衰と共に、変化していきまた一つの上の段階へ代わっていく過程を示していました。

    外国書籍の面白いところは、仮説と実証するための分析や他分野での教養が垣間見える点が面白いよね。

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